MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese) [A clip from


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子宝騒動

1935年 松竹キネマ蒲田撮影所作品 上映時間34分
脚本・・・池田忠雄
監督・・・斎藤寅次郎
撮影・・・武富喜雄

〈配役〉
福田 繁・・・・小倉 繁
細君 お咲・・・出雲八重子
息子 一郎・・・藤松正太郎
息子 二郎・・・野村 秋生
息子 三郎・・・横山 準
娘  松子・・・小島 照子
娘  竹子・・・小島 和子
家主・・・・・・曽我 六
男爵・・・・・・谷  麗光
産婆・・・・・・高松 栄子
女の人・・・・・滝川 玲子
第一の使者・・・山田 長正

〈略筋〉
福田さんの家は、貧乏人の子だくさん。間もなく七人目の子宝に恵まれる予定。ところが福田さんは失業中。料金未納で水道が止められると、井戸があるから大丈夫。ガスが止められると、まきでごはんは炊けますよ。と呑気に構えてはいるものの、到頭産気づいたとあっては大変。あわてて産婆を呼びに行くのだが、六人分の取り上げ料も払っていないので断れられてしまった。なんと産婆は金満家の男爵家の豚のお産に出かけてしまったのである。うちの女房も豚に生まれて来ればよかったのにと嘆きつつ、なんとかしてお金を作ろうと四苦八苦。娘を置き屋に連れてって、子供を担保に―と思ったが、これもダメ。途方に暮れる福田さんの目の前に、遂に金運がめぐって来た。逃げた豚に懸賞がかかっているという。なんとしてもと大奮闘。果たして・・・・

〈解説〉
無声映画時代の末期に、松竹蒲田撮影所では長篇映画のそえものとして短篇の喜劇を盛んに作った。当時、そのなかで喜劇映画の監督としていちばん有名になったのが斎藤寅二郎である。彼は喜劇の専門家となり、トーキー以後も生涯ドタバタ喜劇を作りつづけたが、彼のもっともすぐれた仕事は無声時代のスラップスティックにあったということが定説になっている。しかし残念ながら彼の無声映画の喜劇はこの「子宝騒動」一本しか残っていないのである。しかしこの一作からだけでも、当時の彼のスラップスティック喜劇がいかに活力に富んだものであり、天才的なギャグをふんだんに持ち、なおかつ、単に観客を笑わせるだけでなく、不景気だった時代を痛烈に風刺したものだったことが理解できるだろう。

(解説 佐藤忠男)


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