主演のパウル・リヒターは『ドクトル・マブゼ』に続いてのラング作品であり、彼の百本近い出演作品の中でも代表作となった。
(略筋)
古代ゲルマンの伝説である。ネザーランド王ジークムンドは、王子ジークフリートをニーベルングに誉れ高き刀鍛冶ミーメの許に預け修業させた。数年の後、ジークフリートは立派に業を修め、白馬にまたがり話にきくニーベルンゲンの宝を求めて出発した。途中、火龍を退治したが、その時火傷した手を唇に当てると、不思議な事に梢の小鳥の囀りを解せるようになった。それによると火龍の血を全身に浴びれば不死身になるという。ジークフリートは早速火龍の血を浴びた。だが、菩提樹の葉が一枚舞い落ちて彼の背に付き、そこだけ血潮が付かなかった。その後ジークフリートは、ニーベルングの族長アルベリッヒを倒して、限りない財宝と隠れ頭巾を手に入れた。ギュンター王と会見したジークフリートは、美しい王妹クリームヒルトを見そめて求婚するが、王の重臣ハーゲン公は彼に難題を持ちかけた。ジークフリートはこれに臆せず、アイスランドの強勇の女王ブリュンヒルデと戦技を競うギュンター王を助け、彼女を破って凱旋した。王とブリュンヒルデ、ジークフリートとクリームヒルト、二組の婚宴が開かれたが、ブリュンヒルデはジークフリートを慕っていたので王には冷たい態度をみせた。王に頼まれたジークフリートはブリュンヒルデの心をつかもうと試みたが、結局彼女は恨み怒って王にジークフリートを殺せと囁く。王の命を受けたハーゲンは、クリームヒルトを欺いて不死身の秘密を聞き出すと、鹿狩りに事よせて彼の背に槍を投げて殺してしまった。ブリュンヒルデは愛惜と悔恨の中でジークフリートを追って自害し果てた。卑劣な暗殺を知ったクリームヒルトは永く呪いと復讐の誓いを立て、黙して悲しみに暮れるのであった。
第二部 『クリームヒルトの復讐』
(略筋)
クリームヒルトはニーベルンゲンの宝を資金に、亡夫ジークフリートを慕う旧家臣を集めて日夜、復讐の機を待っていたが、ハーゲンはラインの河底に彼女の財宝を沈めてその禍根を絶った。その頃フン族のアッチラ王からクリームヒルトを妻にしたいと申し出があった。一族が反対する中、復讐する手段として彼女は再婚の旅に出た。程なく男子が誕生し、喜んだ王は兄弟たちを招くというクリームヒルトの望みを叶えた。彼女の命を受けてフン族の一隊が、同行するハーゲンを襲うが、逆に幼い王子を殺されてしまう。ここに地獄のような殺戮が展開される。最後まで兄ギュンター王を護って生き残ったハーゲンに対し、兄王を殺してまで宝のありかを追求するクリームヒルトは、遂にジークフリートの名剣バルムンクを抜いてハーゲンの首をはね復讐を果たすと、自らの命を絶った。彼女の死骸を抱いたアッチラ王は、悲しい宿命を嘆くのであった。