MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese)
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浮草物語
昭和九年松竹キネマ蒲田作品
昭和九年度キネマ旬報ベスト・テン第一位
(昭和九年十一月二十二日浅草帝国館他封切)
スタッフ
原作: ジェームス・槇
脚色: 池田忠雄
監督: 小津安二郎
撮影・編集: 茂原英朗
美術監督: 浜田辰雄
監督補助: 原 研吉
監督補助: 根岸浜男
監督補助: 田中時夫
監督補助: 石川和雄
撮影補助: 厚田雄春
撮影補助: 入江政男
舞台装置: 大谷弥吉
舞台装置: 角田民造
舞台装飾: 三嶋信太郎
舞台装飾: 日野芳男
衣裳: 斎藤耐三
結髪: 芳賀治江
配光: 中島利光
現像焼付: 納所歳巳
現像焼付: 阿部鉉太郎
タイトル: 藤岡秀三郎
タイトル撮影: 日向清光
撮影事務: 高山 傳
キャスト
喜八・・・坂本 武
かあやん(おつね)・・・飯田蝶子
信吉・・・三井秀男
おたか・・・八雲理惠子
おとき・・・坪内美子
富坊・・・突貫小僧
とっつあん・・・谷 麗光
吉ちゃん・・・西村青兒
マア公・・・山田長正
立師・・・青野 清
下廻り・・・油井宗信
小屋の男・・・平 陽光
駅員・・・若宮 満
古道具屋・・・縣 秀介
床屋のかみさん・・・青山万里子
村の男・・・池部光村
(解説)
『母を戀はずや』に次ぐ小津安二郎の監督作品で、音楽と音響のみ録音されたサウンド版として製作されたが、現在保存されているのは無声版のみである。
当時の日本映画界は、出演俳優によって集客力が決まっていた時代であり、本作品の様な地味な配役の作品は興行的には芳しくなかったが、その一方で評論家の評価は素晴らしく、雑誌に掲載された批評には「この作は、『出来ごころ』のような息詰りを感じさせないし、さらりとしたところがあり、凡そ完璧な作である。巧緻をきわめた作である。たしかに、小津安二郎は“名匠”の名に價いするものである」とあり、小津監督自身も「これは比較的よくいった作品でした」と述べている。小津作品の中でも特に完成度の高い作品であり、日本の無声映画を代表する名作の一つである。
(略筋)
ある静かな田舎の駅に、旅芝居の市川喜八一座を乗せた列車が到着した。四年ぶりのこの町は喜八にとってちょっと意味ありの町だった。折角小屋掛けした芝居は雨続きで不入りの毎日。座員が腐るなかで喜八だけは楽しい時を過していた。実は、この町にはおつねと二人の間に出来た息子、信吉がいたのである。ある日、おたかが喜八達親子の事を知ってしまった。嫉妬したおたかは、一座の娘おときを唆し、信吉に近づかせ、喜八の鼻を明かしてやろうと企んだ。だが、結果は信吉とおときを本気にさせてしまった。喜八とおつねは自分達の若い頃を思い心配したが、信吉は喜八の意見など聴こうとしない。堪り兼ねたおつねは、喜八が信吉の父親だと打明けた。やがて喜八は、親らしい事が出来るまではと一座を解散し、再び夜汽車にゆられて旅立った。
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