MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese)
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浮草物語

 

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キャスト

(解説)
『母を戀はずや』に次ぐ小津安二郎の監督作品で、音楽と音響のみ録音されたサウンド版として製作されたが、現在保存されているのは無声版のみである。

当時の日本映画界は、出演俳優によって集客力が決まっていた時代であり、本作品の様な地味な配役の作品は興行的には芳しくなかったが、その一方で評論家の評価は素晴らしく、雑誌に掲載された批評には「この作は、『出来ごころ』のような息詰りを感じさせないし、さらりとしたところがあり、凡そ完璧な作である。巧緻をきわめた作である。たしかに、小津安二郎は“名匠”の名に價いするものである」とあり、小津監督自身も「これは比較的よくいった作品でした」と述べている。小津作品の中でも特に完成度の高い作品であり、日本の無声映画を代表する名作の一つである。

(略筋)
ある静かな田舎の駅に、旅芝居の市川喜八一座を乗せた列車が到着した。四年ぶりのこの町は喜八にとってちょっと意味ありの町だった。折角小屋掛けした芝居は雨続きで不入りの毎日。座員が腐るなかで喜八だけは楽しい時を過していた。実は、この町にはおつねと二人の間に出来た息子、信吉がいたのである。ある日、おたかが喜八達親子の事を知ってしまった。嫉妬したおたかは、一座の娘おときを唆し、信吉に近づかせ、喜八の鼻を明かしてやろうと企んだ。だが、結果は信吉とおときを本気にさせてしまった。喜八とおつねは自分達の若い頃を思い心配したが、信吉は喜八の意見など聴こうとしない。堪り兼ねたおつねは、喜八が信吉の父親だと打明けた。やがて喜八は、親らしい事が出来るまではと一座を解散し、再び夜汽車にゆられて旅立った。


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