母衣権兵衛・・・南 光明
荒牧源内・・・谷崎十郎
赤牛弥五右衛門・・・根岸東一郎
お新・・・大林梅子
おぶん・・・岡島艶子
土居孫左衛門・・・河津清三郎
お葉・・・住乃江田鶴子
第二話 楽屋風呂
不破伝五左衛門・・・南 光明
宮内甚内・・・根岸東一郎
白河三十郎・・・津村 博
千馬平八・・・マキノ登六
お紋・・・松浦築枝
倉橋重兵衛・・・岡村義夫
お吉・・・大林梅子
お蒔・・・河上君栄
マキノ映画はスター俳優の大量脱退により、若い俳優達を動員した集団劇を作ることを余儀なくされ、その状況がそれまでの時代劇では考えられないユニークなシナリオを生み出した。奇抜なスポークン・タイトル、全篇に漲る鋭い感性、凝ったカメラ・ワークが融合、一大センセーションを起し、当時の反体制的な若者の熱烈な支持を受け、日本映画のヌーベルバーグと呼ぶべき作品となった。
(略筋)
第一話・美しき獲物 浪人暮しの荒牧源内は、彼に一途な思いを寄せるスリのお新と所帯を持つが、献身的な愛情を注ぐお新と、打算ばかりが先にたつ源内の間には、やがて破綻が訪れる。劇は此処に始まる―。
第二話・楽屋風呂 千馬平八という居候をかかえてしまった浪人宮内甚内が、町家育ちの娘お蒔と所帯を持つことになったのだが、“女房か、男の友情か”と平八に割って入られ、一騒動起こした末、お蒔は里に帰ってしまった。
白河三十郎は五十両で命を売り、河合又五郎の護衛役として雇われた。倉橋九郎兵衛の娘お紋は三十郎を慕い、お紋の弟重兵衛は殿秘蔵の名刀を持ち逃げして浪人となった。不破伝五左衛門は仕官を夢見ながらも、今は悪殿三浦嘉左衛門の用心棒。浪人街の人々が織りなす愛憎人生劇の一篇である。