昭和五年千恵蔵プロ嵯峨野撮影所=日活提携作品
スタッフ
昭和五年九月十九日浅草富士館、神田日活館封切
原案: 田中 務
キャスト
脚色・監督: 稲垣 浩
撮影: 酒井健三
美術: 平松智恵吉
ギャグ効果: 第八戦社同人
浪士・三好清十郎・・・片岡千恵蔵
浪士・国枝半四郎・・・尾上桃華
浪士・佐久良勘兵衛・・・瀬川路三郎
川村先生・・・実川延一郎
旅川鬼十郎・・・松下猛男
亀屋主膳・・・林誠之助
飯屋の亭主・・・嵐 岡若
飾職人・全五郎・・・成松和一
その母・・・露野文子
妹・おとよ・・・桜井京子
大田黒源九兵衛・・・市川小文治
法華の鈍念・・・香川良介
三浪士を演じた瀬川路三郎は千恵プロ創立以来のメンバーで、独特な風貌を持ち、個性的な脇役として活躍した。尾上桃華は、どんな役でも器用にこなす重宝な脇役として定評があった。相手役を務めた桜井京子は、日活時代劇の売れっ子女優の一人。
(略筋)
浪人風情を好んで甘んじ、明るく人生を楽しむ美剣士、三好清十郎。女と青大将が大の苦手で酒より他に好きなものなし、だが宝蔵院流槍の達人、佐久良勘兵衛。恐ろしく鼻っ柱は強いが女にかけては青菜に塩という愛すべき男、国枝半四郎。この三浪士のいるところに脱線騒動がない訳ない。されど三人に共通する点は、曲がった事が大嫌い。そしてまた“がる奴”と“ぶる奴”が気にくわない。と、そこに浅草界隈を根城に狂暴の限りを尽す不逞の集団、六法阿弥陀組が現われた。当然黙って見過せる三浪士ではない。その頃、一方では旅川鬼十郎なる怪人物が出現し、どうした事か三浪士は贋金造りの犯人にされてしまった。本物にも贋物にも大体天下の通宝には縁の薄い彼らである。勿論、憤然として身の潔白を明かすべく事件の渦中へ飛び込んで行った。