撮影隊は海軍々人と寝食を共にしながら撮影に臨み、駆逐艦夜襲のシーンは遠く大島沖に十数隻の艦船を出動させて実戦さながらの場面を現出。旗艦三笠には常盤艦が非常に良く似ているというので同艦を使用したりと、日本海々戦の生きた史料とするべく史実の再現に力を注いでいる。
(略筋)
明治三十七年、ロシアの極東南下政策と日本の朝鮮政策との衝突により日露戦争が勃発した。世界最強を誇るロシア軍のバルチック艦隊は十月リバウ軍港を出発し、東洋に於ける唯一の根拠地であるウラジオストックを目指していた。この情報を受けた乃木将軍は、迫り来るバルチック艦隊との交戦に備えるためにも一時も早く旅順を落そうと焦慮していた。
年が明けた一月二日、遂に旅順が陥落した。いよいよ遠来の敵を待つ時が来た。その頃、池田家に宏平駆逐艦搭乗の報が届いた。ロシア軍がウラジオストックに向かう航路は三通りある。敵がいずれかを選ぶか異論百出した時、東郷大将は「朝鮮海峡」と断じ、艦隊を向かわせた。果してバルチック艦隊は現れるのか。もし、この戦いに敗れれば日本は国家的存亡の危機に直面することになる…