謎の殺人事件
昭和十三年大都映画作品
スタッフ
(昭和十三年六月二日浅草大都劇場封切)
脚本: 都 花菱
キャスト
脚本: 宇佐美彪
監督: 後藤昌信
監督: 進藤 正
撮影: 岩藤隆光
撮影: 金山富男
相良健吉・・・水島道太郎
花屋の娘・澄子・・・高原富士子
澄子の妹・・・八田なみ志
マダム・お洋・・・橘喜久子
富沢刑事・・・藤間林太郎
ツナミの源次・・・小笠原隆
玄海灘の鮫・・・四方利男
コンコロの留・・・歌桐傳王
古島剛之助・・・東條 猛
その娘・幸子・・・清野藤子
花屋の親爺・・・市川幅十郎
ネオンの金太・・・清水 明
真砂の光春・・・川上 純
運的の徳さん・・・萩村 正
武州の三五郎・・・近江八郎
出汐の小頭・・・高藤謙二
魚屋の女房・・・一城竹子
伜・孝ちゃん・・・チンピラ大将
上海帰りの鉄・・・港 洋兒
主演の水島道太郎は昭和三年に松竹下加茂へ入社するが、スターとして注目され始めたのは十年に大都へ移ってからである。大都では専ら現代劇の主演を務めたが、元々は時代劇畑の出身であり、十五年に大都を退社後は、あらゆるジャンルで活躍している。
(略筋)
“鉄の爪”と呼ばれる相良健吉は右手のない男だが、指代わりについている鉄の義手の威力で、港の与太者ツナミの源次等に常に恐れられていた。或日、健吉は車内で花屋の澄子姉妹の話を聞き、戦傷の兄や病気の父の為に働く姿を見て、今までの自分を恥じ、目覚めるのだった。それからというものは子分の鮫や留と生まれ変ったように働き、富沢刑事も世話した甲斐があったと喜んだ。それ許りか、健吉達は働いた金で出征家族の面倒を見て歩いた。或時、鮫達に花屋姉妹の家の困窮を聞いたが、今の健吉の働きではどうにもならない事だった。考えた揚げ句、健吉は質屋へ。ところがその夜健吉の行った質屋の主人が殺害された。疑いをかけられた健吉は、やがて富沢刑事に引かれて行く。しかし、天は健吉を見捨てなかったのである………