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1979年マツダ映画社作品  ニュー・サイレント映画
(1979年12月1日有楽町スバル座封切)

地 獄 の 蟲

 

 
原作・脚本・監修 稲垣  浩
監督 山田 達雄
撮影 倉持 友一
美術 鳥居塚誠一
音楽 すぎやまこういち
製作 松田 春翠

【出演】
黒雲団十郎 田村 高廣
鉈の東兵衛 伊沢 一郎
りゃんこの七 三島  謙
山猫の三次 今村 民路
獄門権九郎 沢  竜二
おさらば伝次 三堀  優
おすもうの政 天方  保
お登代 宮下 順子
長吉 松山 省二
空腹の浪人 柳沢 真一
藤木弥九郎 戸上城太郎
巡礼茂兵衛 香川 良介
女房 おつね 花岡 菊子
おひさ 松戸 寿江
村人 おかめ 澤登  翠
茶店の亭主 結城 一朗
旅人 ご隠居 柳家小さん
旅人 若旦那 三遊亭圓歌
旅人 鳥追い女 佐藤 陽子


解説 無声映画鑑賞会の創立二〇周年を記念して製作された作品。無声映画こそ映画の原点であり、トーキー映画にはない面 白さがきっと再確認されるだろうという信念に基づき、白黒で、音楽と効果 音のみを収録するというニュー・サイレント映画として製作された。

1938年に阪東妻三郎主演、稲垣浩監督で製作された『地獄の蟲』のリメイクであり、主演を阪妻の長男である田村高廣が務めている。阪妻版『地獄の蟲』は内務省の検閲によって不本意な作品に改訂させられてしまった事から、41年ぶりの再映画化に当って、稲垣自身があらためて原作の思想に忠実に脚本を書き下し、監修も担当。稲垣の遺作ともなっている

近年「ドラゴンクエスト」等ゲーム音楽の分野で脚光を浴びているすぎやまこういちが音楽を担当、NHK交響楽団のコンサートマスター・徳永二男が主宰した東京八重奏団が演奏している。 

(Y)

略筋 江戸時代末期、奥州福島藩の城下町福島の在の土湯村というひなびた山村に、悪どい高利貸し豪農弥左衛門が住んでいた。

或る夜、盗賊黒雲団十郎一味がこの豪農一家を襲い、八人皆殺し、千両箱六個を盗んで逃げた。村人は内心、天罰だと喜んだが、役人の命により山狩隊を組織した。

黒雲一味は、獄門権九郎、鉈の東兵衛、おさらば傳次、山猫の三次、お相撲の政、りゃんこの七、それに団十郎の情婦お登代の八人組。それぞれ、一くせも二くせもある悪人達で、土湯峠を越えて吾妻連峰沿いに米沢藩領内に逃走を図ったのだった。

土湯の山奥に逃げ込んだが、追手の追及は厳しく、一味は樹木の深い山中を逃げ惑う羽目になった。

背中には重い千両箱、食糧も尽き、飢えと疲れで気持はすさみ、仲間関係もギスギスしてきた。これに小判をめぐる葛藤が仲間割れを誘った。逃げる者、殺される者、一人、二人と減って行く。半獣的一団となり下がった彼等に、追手が迫る。さらに、大自然の脅威が待っていた。山は荒れ、冷たい豪雨が情け容赦なく肌を打つ。そして、山頂の長吉小屋へ・・・・

何者も恐れなかった黒雲団十郎だが、ついに最期の時が来た。吾妻小富士に追い詰められた団十郎は、最後まで裏切らずについて来たお登代に逃げるように言うが、お登代は『お前さんと一緒に死ぬ 』と拒み、にっこり笑って団十郎に殺された。お登代の遺髪を胸に団十郎は、悪党の意地をかけて大立ち回り・・・・・        

(H)


 


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