MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese)
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血煙荒神山

 

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(解説)
大正時代の名人、神田伯山の講談「次郎長外伝」を原作に、松本常男が脚色し、大河内傳次郎とのコンビで『沓掛時次郎』を大ヒットさせた辻吉郎が監督。お盆興行用に製作され、二週間の続映となった。この題材は、大正十二年に新派で初演されたあと、翌十三年には新国劇が上演して評判をとり、以来十八番の出し物となっていた。

この作品の見所は、何といっても迫力満点の乱闘シーンであり、京都の五智山にロケし、十数人の怪我人を出したという。

二役の大河内は、メーキャップが巧妙で何の違和感もなく、殺陣にも渡世人らしい凝った演技を見せている。又、当時の批評では、逃げ回って助かる神戸の長吉を演じた久米譲の評価が高く、弱々しい役を得意とした久米の代表作になった。

(略筋)
伊勢参宮の帰途、清水一家が酒盛をしている所へ血みどろになった度右衛門の兄、滑川の八五郎が転げ込んで来た。卑怯な音五郎と代官梶原佐平太にやられたと聞いて怒った度右衛門は即刻、大政小政等の力を借りて兄の仇を討ったが、代官に手向った後事を恐れ、道中、吉良の仁吉を訪ね、詫びを依頼した。丁度その時、親譲りの荒神山を兄弟分の安濃徳に奪われ乍ら生来の臆病からどうする事も出来ず悩んでいる神戸の長吉が、仁吉の許へ泣きを入れに来た。

仁吉は遂に意を決し、安濃徳の妹である自分の妻に離縁状をつきつけると、妻お菊は総てを甘受し乍ら自害し果てた。そこへ乾分の身を案じ清水からやって来た次郎長は、仁吉の意気に感じ、乾分十餘名を荒神山に向わせた。慶応二年四月三日、伊勢荒神山麓に時ならぬ血しぶきが上がった―。


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