MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese)
ENGLISH | JAPANESE
東京行進曲

 

スタッフ

キャスト


(解説)
雑誌「キング」に連載中であった菊池寛の同名小説の映画化で、溝口健二にとっては『朝日輝く』に次ぐ監督作品。

文化学院の同期生で、共に近代的なセンスを持った美人女優として日活現代劇部の双璧であった夏川静江と入江たか子が共演している。入江のブルジョワ娘に対して、夏川はプロレタリアの娘を好演し対照を際立たせたが、残念ながら入江の出演シーンは、現在ほとんど保存されていない。

当時の批評には「俳優として、近頃頓に潤ひを増した夏川静江が最も好く、巧みな細い心理描寫に成功してゐる。殊に藝者になってからの演出が好い」とある。

小唄映画、小唄レビューといった時流に乗って、西条八十作詞、中山晋平作曲で作られた主題歌と共に大ヒットした作品である。

(略筋)
大富豪藤本は壮年の頃より女に対しての横暴を持って花柳界を荒してきたが、遇々彼が目を付けた若き芸妓、折枝は図らずも彼が昔、弊履の如く捨てた女の忘れ形見である事を知り、鉄槌を受けたように悔恨の情に襲われた。若き頃の過ちを償うため、折枝の幸福を蔭ながら護ろうとした藤本だが、運命は皮肉なもので、我が息子良樹が、腹違いの妹とも知らず折枝に恋してしまったのである。さらに、良樹の竹馬の友佐久間も折枝に心惹かれており、折枝を中心に恋心が複雑に渦巻くのであった。折枝も又、藤本の魔手の次は二人の間の板ばさみに悩む。更に、良樹の妹で社交界の花形早百合子が、その見識とは裏腹に佐久間を恋するという、真に大都会東京の片隅は、めまぐるしく動き続け、因縁の糸に操られるがごとく皮肉な微笑を残して今日もすぎてゆく。


HOME
[Matsuda company logo]